大怪獣バラン

昭和33年(1958)12月26日公開


キャスト

バラン:中島春雄

魚崎健二:野村浩三

新庄由利子:園田あゆみ

堀口元彦:松尾文人

新庄一郎:伊藤久哉

杉本博士:千田是也

藤村博士:平田昭彦

自衛隊長官:山田巳之助


スタッフ

製作:田中友幸

監督:本田猪四郎

特技監督:円谷英二

原作:黒沼健

脚本:関沢新一

音楽:伊福部昭


せなの評価

怪獣映画的評価:☆☆☆☆☆

バランデザイン:☆☆☆☆☆★(※注)


東宝怪獣映画最後のモノクロ作品。
「空の大怪獣ラドン」の次の作品ですが前時代的な雰囲気を出すためにモノクロで撮影されたらしいです。
東宝がアメリカのTVの発注を受けて製作し、その後劇場版にブローアップされたという変わった経歴で劇場公開されています。
土着的な信仰や伝説を初めて取り込んだ怪獣映画で、モスラなどの原形ともいえるでしょう。作品のテーマはなんと「過去の迷信なんて吹き飛ばせ」とかいう豪快なものになっています。ゴジラとは作品のテーマが違うのでバランを助けようと言った類の意見は一切でません。

まずは作品全体の命ともなる大怪獣バランですが、まずそのデザインが素晴らしい。
設定は中生代に生息していた恐竜・バラノポーダーいう巨大爬虫類で、空を飛び海中を自在に泳ぎ回り陸を蹂躙するという「陸海空を制する怪獣」なのです。
着ぐるみも生物的で驚くほどの出来です。恐らくイグアナがモチーフになっているのだと思われるのですが、それを全く感じさせない秀逸なデザインで、設定からも「ラドン」と「アンギラス」のいいとこをとったような印象もうけるでしょう。頭部にも背中にずらりと並んだ角が凶暴さを引き立てています。全体も非常にバランスがとれており、身の丈ほどもある長い尻尾も魅力的です。ですが、このバランでなによりも注目すべきは顔。
この実に凶暴さを全面に出した形相のこのお顔です。この顔、横から見れば爬虫類的で生物感を醸し出しているのですが、正面から見れば一見して仏像のような崇高な顔に変わります。設定でも婆羅陀魏(バラダギ)山神として崇められているので非常に作品とマッチしているのです。手足も筋肉の隆起が激しく、力強さを感じ取れるでしょう。
さらに中に入っているのはゴジラ俳優として有名な中島春雄さん!そのおかげもありバランの動きはこれまた生物的でリアルです。尻尾の操演も自然な動きで見ていて驚くほどです。これほどのものを持つバランですが、唯一下あごがあまり動かないという欠点もあります。すこし寂しいのですが、他の部分で十分にカバーされているといえるでしょうね。普段は4つ足ですが、2本足で立ち上がるとまた独特の力強い雰囲気が出て、神と崇められる魅力を引き立てています。
また、バランは皮膜で飛行するのですが、それにしては無理のある飛び方をします。ですが、せなはこれを神通力のおかげだと想像しています。バランは中生代を生き抜いた神様なので、そういうものが備わっていたと想像してみるわけです。まあ、あまり気にするようなことじゃありませんよね。
そして、バランの鳴き声は後の怪獣に幾通りにもアレンジされて使用され、怪獣の鳴き声の一角を占めています。それほど怪獣らしかったということでしょう。

他の方々も申されていますが、前半と後半では映画の雰囲気そのものがまったく違います。前半は秘境探検の雰囲気を出し、婆羅陀魏山神を信仰する排他的な部落周辺を中心に描かれますが、その岩谷部落をバランが飛び去ってからの後半部分では完全に部落の話も出ず、婆羅陀魏山神という設定も全て置き去りにされてバラン対人間(自衛隊)の攻防へと移り変わります。
全体を通して作品の雰囲気が一定しないのはあまりよくないかもしれませんが、これはTV用作品だったからでしょう。それぞれは非常に出来の良いものとなっているので気にしないほうがいいです。

前半部分ですが、個人的にはモスラよりも大好きですね。モノクロというのもあって非常に雰囲気の中にどっぷりとはまってしまいました。
特に劇中で使用されるバランのテーマ曲が非常に恐ろしい雰囲気を出していて、スムーズに見ることができました。見所はなんと言ってもバランが部落を全滅させるシーンです。ミニチュアの出来も素晴らしくかなりの映像となっています。
ちなみにこのバランのテーマは後にアレンジされ、有名な二代目ラドンのテーマになっています。
そして部落を飛び去るバランなんですが皮膜を出して飛ぶという予想外の飛行を見せてくれます。皮膜をのばすシーンはまさに婆羅陀魏山神というものでした。

そして後半部分。わたしは元来怪獣の味方なので人類である自衛隊に興味はなく、自衛隊ばかりがでるならつまらいと思っていました。ですが、そのわたしを釘付けにするほどの映像でした。 後半に限ってのことではないのですが、この作品の自衛隊は実写の映像を多数使用しており、号令なども実にリアルです。実際の演習の映像なども使われているそうです。さすがに実物は説得力が違います。 その自衛隊の(もの凄く)激しい攻撃をものともせず、羽田空港へ上陸したバランはまたしても迫力たっぷりの大破壊を見せてくれます。 最後にバランはダイナマイトの20倍もの威力の特殊火薬で倒されますが、この特殊火薬は物の内部でないと威力を発揮しないため、バランに飲み込ませる方法を使います。バランは光を見るとそれを飲み込むといった特殊な習性を利用し、照明弾につけて飲み込ませるというものです。考えてみれば相当痛そうだ;;
そしてこの切り札を作った博士を演じるのが平田昭彦さんというお約束がw

せなはこの映画を子供のころに見た記憶がありません。ビデオはあったのですが、おそらくモノクロなので見なかったんだとおもいます。
モノクロ作品は雰囲気が極めて率直に現れるため、あまり子供には向かないです。ちょっとモノクロってだけで難しそうなんて思ったりしたものです。
ですが今になって見直したところ、異様なまでに気に入り、レビューまでかいてしまうほど気に入ってしまいました。
今まで、映画の怪獣なら、ゴジラ・アンギラスなどなどを好きでしたがここに来て一気にバランが大好きになりました。1番などと決めることはできませんが、後から見た怪獣にしては珍しくものすごく気に入ったのです。

結局文章下手なので何が言いたいのかわからないものになってしまいましたが、すこしでもこの映画とバランの良さが伝われば嬉しいと思います。

「永遠の謎という言葉がある。バランこそはその謎に生き、そしてまたここに永遠の謎を秘めて東京湾にその生命を絶ったのである。」


他の方々のサイトでバランのレビューをみているとどれもぞんざいでいい加減に扱われているのがすごく悲しかったですね・・・。

○登場怪獣、東洋の大怪獣バラン

※注:黒星っていうのは素晴らしいって意味です。
戻ります。
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